ユキニフル – waiting for another summer –

夜行列車 lyrics : 宏川露之 / ein himinn
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照明灯 点を結ぶ軌道が ぎこちなく逃げる星のように

見上げた空の 散らばる果てに 些細な光を惹き寄せ瞬く

座席の隅 分厚いガラスが まだ暑い夜の風を避けて
漂う夏を隔てるくらい 効き過ぎた冷房 景色を塞いだ

僕らが探した ありえた未来は
僕らが失くした 消えない昨日だ  

夜行列車 僕らが飛び乗った始まりは
見送られない 後悔を持ち込んで
そのために そのために この旅路で僕はやり直す
折り返し出会う日を 同じ距離で 一人待ちながら

交通系 最後尾の分岐が 幾通り 進むべきなのはどれ
暗い線路に下敷きになる 僕らの不安が車両を揺らした

何度も見つけた 見慣れた世界は
虚しく途絶えて その度さよなら

夜行列車 僕らが乗り継いだ過去にある
抱えきれない 風景は 置き去りで
それなのに それなのに この旅路を僕は続けてる
思い出を塗り替える  微温い嘘は 全て飲み干して

僕らが探した ありえた未来は
横切る列車が眩しく照らした 

車窓の先 遠ざかる 通り過ぎた景色で
もう二度と戻らない この今日に行き着いた

夜行列車 僕らが乗り過ごした日々なんて
意味はないんだと やめることは簡単で
そうだけど そうだけど この旅路を僕は信じてる
もう二度と戻れない この今日を 生き抜いて

夜行列車 僕らが降り立った結末は
忘れられない 後悔の先にある
だからこそ だからこそ この旅路を僕は選んでる
始まりの 答えなら 明日にある 
そのために そのために この夜を一人 駆け抜ける

 

打ち上げ花火 lyrics : ein himinn
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夏をもたらす蝉時雨 街の灯りに重なる影
遠く陽炎が揺れる先の 過ぎ去った日々に目を凝らす

あの時、君が話した声は 花火の残響に連れ去られて
微笑みながら零した涙の 意味を僕は探し続けている

追いかけて 追いかけて そのたび景色が変わる
手を伸ばし すり抜ける 打ち上げ花火 鮮やかに

消えてはまた灯が点り 夜のとばりを照らし出す
その明かりを頼りにして 失くした何かを探してる

ふと聞こえた気がした声に引かれ 振り向く夜空に浮く月光
君を連れ去る瞼の奥の 眩し過ぎるあの日々を

追いかけて 追いかけて それでも景色は滲む
咲き誇り 散ってゆく 打ち上げ花火 儚げに

遠ざけて 遠ざけて そのたび景色が消える
目を閉じて 思い出す 君の総てをもう一度

追いかけて 追いかけて そのたび景色が浮かぶ先
手を伸ばし 掴み取る 打ち上げ花火 鮮やかに
打ち上げ花火 鮮やかに

 

夕凪 lyrics : 宏川露之
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国道 遠くに残された 街の墓のような建物に
誰かを弔うわけじゃなく 君は自分自身を探している

枯れかけの街路樹 日向に置かれた貯水槽
空に広がる分厚い雲が 通り雨を降らせて去っていった

あの頃の僕らはきっと どこまでも行けると信じていた
制服、花火、蝉時雨 旅の途中に思い出はいらない

いつか別れた風景に さよならさえも言わないまま
ふいに見上げた夕暮れに 僕らは夏の終わりを知った

消えかける街並みを一人急いで 歩き疲れて立ち止まる
振り返れば続く足跡に かつての面影を見た気がした

かすかにやわらぐ陽の暑さに 高い壁を超えた海風は止んで
君の姿に気づいた時には もう一つの夏はすぐそばにあった

遠く 遠く 影を描いて
あの頃だけを思い出せば
赤く 赤く 染め上がった
僕らが ここにいる

ここにいる

 

夏の体系 lyrics : 宏川露之
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例外はなくぼやけた街並み たとえば君が生きていることも

高い屋根にぶつかる雨に 紛れたまま消えてなくなる

忘れたことは些細な記憶で たとえば僕が生きていることも
凪いだ風にこぼれる汗に 溶かされて涸れてなくなる

部屋の隅に君がいて 「何もない」と 僕を見る目で

街はまだ見慣れない 閉じた座標の中
一人きり逸れた 意味だけを見捨てる

間違えたその訳を 君に伝えるのは 
始まりに出会えた僕らの この夏の体系

幽霊みたい  誰もいないのに いままで君が生きてたことも
高い屋根が 破れた空に 紛れたまま 夜は閉じてく

感染源は不確かな  日々に逃げた僕の言葉に

街はまた見慣れない 変わる景色の中
一度きり失くした 過ぎる日を見つける

吐き出した後悔は 決して戻せないから
陽は落ちず それでも暗いのは この夏の体系

夏の日の太陽 冬の日の高熱
どこにも連れていけないから 立ち止まるために泣いていた

日差しに焦げる影 答えを迷うまま
最後に君が笑うことが 報われるように願う

街はまだ見慣れない 閉じた座標の中
一人きり逸れた 意味だけを見捨てる

間違えたその先を 君に伝えるから
陽は落ちず それでも暗い夏が終わる

   
僕たちを映し出す 浮かぶ無数の空
一つだけ零れた 答えを見つける 

嘘をつく それだけで 君が微笑むのは
終わりから出会えた僕らの この夏の体系

 

離れた場所で lyrics : 宏川露之
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線路沿い 神様から一番離れた場所で
蝉の声 八月はもうきっと慣れた風景に       

言葉さえ 暑さゆえ 形を変えるほど恥じて
滲むのは 足取りを弾き出す 割れた道路    
 
押された鍵盤のように 雲は動き始めて
朝焼けはいまも「久しぶり」だと嬉しそうに
晴れた青空と閉じた窓を ほどいて出会う         
  
今日は日々を置き去りにして
季節を巡らせる
僕はそれに追いつけないまま
そっと足を止めて 昨日を終えた     
 
遠慮して隠した顔 日差しを避けてうつむいた
駅の前 間違いない 降り出した雨の中で     
   
壊れた標識の影が 行く先を塞いで
ここじゃないどこか 知らない僕ら 誘うように    
手が届くほど 君の眠る街に灯がともる        
 
今日が君を知らないなんて
嘘みたいな話で
諦めたってどこにも行けず
ずっと泣き止むまで 立ち尽くした    
 
遅れた電車が夜を 僕たちに運んだ
過ぎるこの夏に 世界から一番離れた場所で           
 
今日は日々を置き去りにして
季節を巡らせる
振り向いても追いつけないなら 
思い出して     
 
僕が君を知らないなんて
そんなはずはないんだと
思えるくらい近くにいたから
僕ら 出会えたんだろう
 
ただ一人の君に出会えたんだろう