フリーデッド lyrics : 宏川露之/ein himinn
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「今日よりも酷い今日を 繰り返す部屋の隅で
君はなぜ理由もなく 何のため生きるのか?」
問い詰める声はやがて 饒舌な思想として
憂鬱な日々の隙間 僕の心を諭す
画面越しの笑い声も 映り込んだ請求書も
我先にと僕を煽る 「いますぐ消えてしまえよ」ってさ
「自由な死者に救済を 自由な死者に祝福を」
誰も彼もが叫び立てる 無意識の号令
「自由な死者に解放を 自由な死者に喝采を」
右も左も居場所のない 不自由な時代に
何一つ希望は 持てないままでいい
君が全て終わりにできるから
「隣人の愛がなくば 自らも愛せぬだろう
虐げた敵が誰か 分かってるはずだ」
ワイドショー ビルを焼いた 部屋中に悲鳴が満ちた
それこそが狼煙だった 僕を駆り立てる神
もう誰にも望まれずに 一人きりで生きるのなら
もっと辛い日々が続く それならいまここで
「自由な死者に制裁を 自由な死者に報復を」
誰も彼もが待ち焦がれる 無差別な銃声
「自由な死者に決断を 自由な死者に結末を」
前も後ろも逃げ場はない 不条理な未来に
何一つ奇跡は 起きないままでいい
君が君の救いになれるなら
死にたいと君が受けた屈辱のその正体は
無自覚に笑う彼に 殺された君自身だ
だからこそ 無論ここで 復讐を果たすべきだ
思いつくがままでいい 君の答えを示せ
命に価値があるなんて時代 それ自体がすでに腐っている
明日また病院へ行こうと かけた電話は繋がらない
何もかも嫌になった
「自由な死者に救済を 自由な死者に祝福を
自由な死者に制裁を 自由な死者に報復を」
「自由な死者に尊厳を 自由な死者に敬愛を」
誰も彼もが叫び立てる 無秩序の肯定
「自由な死者に惜別を 自由な死者に冥福を」
上も下もあるはずのない 美しい命に
何一つ世界に 失うものはない
君が全て終わりにできるから
君を終わりにできるから
死の意思の記録 lyrics : 宏川露之
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八月二十日、赤く染まる西日を拒絶
外出を自粛 自主的に続く 防護服と化した自室
暇潰し 無料 FPS 手当たり次第に銃を取る
非現実世界 緩く続く殺し合い
日常同様 無能 役立たずに居場所はなくて
ただ疲れて酔って 被弾する心無い罵声
浴びせられ慣れて 無神経 何度も催した吐き気
ふいに蝉の鳴き声 ただの耳鳴りで
夕立 街の苛立ちに注ぎ ささやかな自傷行為
雨に濡れたくて 向かう表通り
人の群れにぶつかり 逃げるように行き先を探して回り
「はぐれたやつから死んでいくぞ」
ゲームじゃなくこの世界の忠告だったか
乗り込んだ電車内 誰も本なんて読んでない
自分のことは棚に上げて それだけで勝手に憂う未来
その実 ただの醜い思い上がり 意志薄弱のなりたがり
放置した未完の物語 こんな面倒も今日で終わり
ここに書き留めるのは
死の意思の記録に 用意する自供
ここで書き終えるのは
付き纏う孤独に 儚む価値すらない希望
誰かが都合よく 語らぬよう
僕が生きるのを やめる理由を
僕が僕を殺したい その訳を
ここに残した 意思の記録
傷ついた、諦めた、弱かった、逃げられなかった
そんなんじゃなくて そんなんじゃなくて
そんなんじゃなくて ただ ただ
懐かしむ昨日 所詮、人生の模造
そうやって濁る僕自身の命を愚弄
繰り返した侮辱 その馬鹿らしさに苦笑
最後に見上げた何も変わらない曇り空に
繕う術すらない僕の苦悩
伝える価値すらない今日の訃報
でも ここに書き留める
死の意思の記録
遠吠えとドライヤー lyrics : 宏川露之
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長い長い長い ドライヤーの時間に
叫んでみたんだ 遠吠えみたいに
いつか誰か 届くのならいいのに
本当はそんなこと 信じてもないのに
教室を抜け出して 土砂降りの昼下がりに
信号と街灯が 代わりばんこの道を歩いていた
「ずっと君のこと 好きだったんだ」
アニメのエンディングは 嘘くさくて 苦手だったな
私の叫び声を 全部全部 かき消してよドライヤー
ふいに暗闇 裏切るように途絶えたブレーカー
長い長い髪から 落ちるしずくが足元を濡らす
どこにも行けないような そんな気がしたんだ
深い深い深い 夜が続く不安に
叫んで潰れた 心の痛みに
この世界が 続くだけでいいのに
本当はそんなこと 望んでもないけど
線路沿い 駆け出して 終点と逆戻りに
信号も街灯も そっと消えてく
私の生きる意味が 一つ二つ 嘘に変わる 辛いや
鼻をくすぐる 雨混じる風に夏のフレーバー
遠く遠く かみなり 落ちる光が足元を照らす
どこまで行けばいいのか 分からないまま
教室を抜け出して 土砂降りの昼下がりに
明日の話なんて したくなかった
びしょ濡れのわるあがきに 風邪ひきのやつ当たりに
信号と街灯が 夜空に浮かぶ
私の叫び声を 全部全部 かき消してよドライヤー
いつも自分を 裏切るだけの私が嫌いだ
閉じたはずの瞳が 落とすしずくが足元を濡らす
どこにも行けない夜に 夢を見ていたんだ
全部全部 かき消してよドライヤー
学期末ロードサイド lyrics : 宏川露之/ein himinn
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休日 校舎の屋上で 眺めてた「僕らの日常」は
いつでも他人に譲ってしまえるくらいに
それなりに平凡で それなりに窮屈で
それなりに最悪だった
終業式 抜けて 暇潰し 閉業予定のゲームショップ
どうせ明日も今日が 続くと思っていたから
どこまでも無自覚で どこまでも残酷で
どこにだって行けなかった
湿った風 じれる心 辛口のソーダは青色
無味無臭な青春の途中 使い切れない命を無駄にして
何故だか 多くは 語らないような
幸か 不幸か 笑顔のままで
そっと君は 一人で器用に泣いて
どうにか どうにか 僕の言葉で
遠く 遠く 連れて行けたら
あてのない日々に願って
終日 歩き通し僕ら トンネルの隅をくぐっていく
人間不信の甲斐あって健康的で
「後悔はない」って強がった言葉も
限界と気づいたんだ
貰った風邪 乾いた喉 一緒にここを離れようと
飲み尽くした空き缶は自由
逃避行を 始めた朝も
行こうか 戻るか 迷った夜も
いつも僕らは 二人で明日を探した
どんなに どんなに 重たい過去も
遠く 遠く 運んでくれと
頼りない脚に託して
2号線 ひび割ればかりのロードサイド
辛い記憶も 背負うだけなら容易いはずなのに
飛行船 雨雲 濡らした ポートレイト
失くした傘を探すうちに 歩き出せなくなる
電線蹴って飛び立った 夕暮れ カラスの羽根が
時計の秒針みたいに ゆっくり動いて見えた
電線蹴って飛び立った 夕暮れ カラスの羽根が
時計の秒針みたいに いつまでも
何度も 何度も 僕らの旅の
声を 言葉を 思い出してよ
いつか途中の 道をまた歩き直して
最後に 最後に 見上げる星は
どうか どうか 綺麗なままで
戻れない日々に願って
あの日の僕らに さよなら
散らない言葉 lyrics : 宏川露之
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地方都市で雨に降られたトラックが
私の街にその雨も一緒に運んできた
この部屋から見える限りの
ほんのささやかな冒険譚だった
きっと言葉だって本当は そんなふうにして届けられて
やっと伝わっていくはずなのに
いつのまにか 簡単に散らばっていくものばかりで溢れている
砕けた破片じゃ 心の空白は埋まらないのに
連れ出してほしいなんて言わない
広がっていく景色なんていらない
みんなと同じ幸福なんて知らない
ただ私が欲しいのは 私のためにつくられた
ずっと私のためだけにある美しい言葉
共感も 同調も 連帯も 流行も クラスメイトに合わせるくだらない会話も
そんなもののためにできた言葉なんて もう聞きたくもない
私の街で雨に降られたトラックは
どこか遠くの都市に この雨も一緒に運んで行くんだろう
この部屋から見える限りに
ほんのささやかな別れを告げて見送った
たった一つの言葉を望んでいる私みたいに
ずっと待ち続けている誰かのもとにだけ
風に運ばれていくこの雨雲と一緒に 向かっているのならいいなと思った
どこにも散らない 私だけの言葉を
君がくれるなら それだけでいいよ
私たちは もう戻らない
全部ここに 置いていこうよ
或ル少年少女ノ「シ」 lyrics : 宏川露之
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大事な夜に告白しようと思う
僕が肌を灼かないように 傘を貸してくれたあの子に
陽射しの強い日が続いてばかりだから
あの子が死んでしまうまえに 告白しようと思う
人工太陽 長引く故障 乗り継いだレンタカー
繰り返す電子案内 街頭の深夜番組のテーマは「僕らの未来」
少年少女ノ「シ」には 理由らしいものはなくて
美しいってことに 惹かれるだけで 泣いて
どうせ、 僕らはいつも 気が済むまで馴れ合って
白々しさに 耐えられず 笑うんだ
十年ちょっとの日々も 命と呼べる長さで
くだらないってことに 近づくだけで 泣いて
どうせ、 僕らはいつか 呆れるほど簡単に
後ろめたさに 耐えられず 終わるんだ
私は君に訊いてみたいことがある
たった一人 明るい夜に 傘も差さずにいたあなたに
陽射しの強い日が続いてばかりだけど
どこか別の世界で君や 私は生きられると思う?
信号待ちの赤い点滅 溶け出した現実
嘘をつくのは嫌いだけど 本当のことを話すのはもっと苦手だ
少年少女ノ「シ」には 理由らしいものはなくて
土砂降りの雨に 肩を濡らした 君は
いまにもたった一人で 思い出さえ投げ出して
知らない街で 私だけに 笑うんだ
十年ちょっとの日々を 命と呼ぶには短くて
懐かしいってことが 離れるだけで 泣いて
どうせ 私もいつか 呆れるほど簡単に
虚しい夜に 耐えられず 終わるんだ
あの子は午前三時ごろに死んだ
狭いワンルームの外 道端に倒れて
僕らは所詮、 仕方ないと 生きて
不意に逃げるようにして 言い訳をやめたんだ
私を見つけたのが 君でよかった
きっとまたすぐ会えるはずだけど
あなたの中であと少し生きていさせて
いつでも私はそこにいるから
生きてるから
少年少女ノ「シ」には 理由らしいものはなくて
美しいってことに 惹かれるだけで 泣いて
どうせ、 僕らはいつか 死ぬときまで馴れ合って
白々しさに 耐えられず 笑うんだ
十年ちょっとの日々も 命と呼べる長さで
くだらないってことに 近づくだけで 泣いて
いまでもたった一人で 思い出だけ握りしめ
知らない街で 君のこと 探しても
どうせ、 僕らはいつか 呆れるほど簡単に
続く世界に 忘れられ 終わるんだ