黄金小径 lyrics : ein himinn
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高くそびえる金の塔 青白い虚空は淀んだ縁へと
代わる代わるに色の付く 薄暗い灯りに照らされた小さなドア
どこからとなく聞こえ出す 物語を紡ぐ街の記憶が
まるで夢の中のように 言葉も出ないまま次の日々へ誘う
足音が響く石畳の 路地裏の坂道を抜ければ
遙か限りなく 黄昏れた街が世界へ沈んでゆく
忘れない 忘れない ずっとこの場所を離れても
北風に身を任せ 鳥と共に答えを探す
遠ざかる風景の 全て無駄なものではないよ
この夜が続く先 僕らどこまで行けるのだろう
未だ見ぬ世界へと そっと君の手を取りながら
ここで長い旅が始まる
街のはずれの古い時計塔 遠い記憶を思い出すように
鐘が響けば時は止まって 不意に俯き照れ笑いした
君は少しずつ大人びて 僕はまだ旅の途中で
終わらない 終わらない 物語を全て知りたい
知りたい 知りたい 知りたい だから
この道を駆け上ったその先で 僕たちは変われるような気がしていて
少しずつ差し込みだす朝の陽に 照らされたこの旅路を選んでいく
羊飼いのアリア lyrics : ein himinn
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なんて綺麗な晴れ渡る空に
黒犬を連れた羊飼い一人
どこへ向かうの 次の街へ行こう
夕暮れが空を暗くする前に
見渡す限り遮るものなく
乾いた足音 大地踏みしめて
どこへ向かうの ここじゃない何処か
この空と風が続く方へ
明日の準備は明日しよう
考え込んでも始まらない
難しいことは後回し
どうにかなるはずさ
この道は戻れない道で
あの日々も戻れない日々だ
どのみち戻るつもりなんてない
夕暮れ空 羊飼いのアリア
街の路地裏 水たまり跳ねて
黒犬を連れた羊飼い一人
どこへ向かおう どこへも行けるよ
朝焼けが空を染める時に
旅人たちの口ずさむ歌の
リズムに合わせて夜は明けてゆく
知らない景色の続くその先へ
君と二人なら行けるはずさ
この道は戻れない道で
あの日々も戻れない日々だ
どのみち戻るつもりなんてない
今日も明日も歩みを合わせて
この空をくぐり抜けた先
まだ見ぬ世界がきっと待ってる
支度を済ませたのなら旅立とう
朝焼け空 羊飼いのアリア
レーゼントックの有色 lyrics : 宏川露之
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昨日の夜降り注いだ冬の流れ星も
今日の今ではきっと塵ほどの価値もなくて
私があれほどまでに焦がれていたものも
それと同じならなんて素敵なことなのでしょう
苦しい 地下室だらけの天井
窓の中 私は それも耐えられない
夕暮れ 煉瓦の雨は止むことなく
失くしたはずの傘の気がかりは誰のために
ワインレッドに染められてく飾りの空
嘘を癖と語り出すこの街の原風景
あなたに出会えたはずのガラクタも捨てて
間違えた世界だけ独りの行夜
夏に恋していたのは少女の頃だけで
雪でも落ちないかなと そっと足元を見るけど
壊された時計の液晶が映すのは
遙か彼方の塔が砕けてできた灰の色
移り気 有意味 宛名はいびつで
壁に描く落書きは変わらないから
零した涙に身を重ねてみても
水溜りの泥でもう夢から覚めていただけ
機械仕掛けの街高く覆い尽くす空
決して触れることのない満月にも手が届く
日々の割れた退屈にも目を溶かされて
擦れ違った現実と私が嗤う
ワインレッドに染めかえてく飾りの空
破れて見えた流星はせめて本当であれ
いつか聞いたはずの声に灯を傾け
擦れ違った現実と私が嗤う
間違えた世界だけ独りの行夜
アルディバインの棲む森へ
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永訣の夜 lyrics : ein himinn
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白昼の夢はまだ 頭の中、駆け巡り
それにうなされたままで 月日は通り過ぎていく
寝付けない夜の先に 目を凝らし続けても
まるで奇を衒うような 眩しい星の灯りだけ
長い旅路の果てに 見知らぬ空が広がり
夜が明ける少し前 あなたの声が聞こえた
空の手のままで 記憶を辿れば
誰にも気づかれずに 始まりの場所へ戻る
街を見下ろして 少し踏み出すだけで
あなたの夢も忘れるわ だから今は眠らせておいて
眠れない夜数えた 虚構の物語から
時折顔を出しては 押し寄せる古い光
果たせない約束も 手には余る思い出も
全て捨てたはずなのに それでもまだ届かない
同じ空の下 手と手が掠めれば
二人を隔てる距離は 星のように遠ざかる
何も言わないで 笑って見せるだけで
全ての意味が分かり そしてもう分かり合えず
夏の風が吹き 羊歯の葉が揺れれば
物語の始まりの 光の柱へ向かう
夜を飲み下し 生まれ変わるために
私はまだこの名前で 独り歌を歌い続けるわ
クラシカル lyrics : 宏川露之
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現代型の文学少女は純文学に見放されて
店頭型のポップチューンに代わりに慰めてもらってる
私小説でも書こうかなと 焼けたドロワーズ転がして
ブラックコーヒーと上書きしたポットから ミルクココアを注ぐ
幼いころの私といえば
交差点のない星が描けず
午前二時半の世界が
12時間後も同じと信じなかった
ユラユラ 大天体の果てに
弾ける消失点のストーリー
500AUの遥か向こう
ユラユラ 大天体の彼方
眺めるワンルームのフローリング
窓辺で抱き合ってる二人は
私と君じゃなくてもいいよ
黒髪ショートの女の子 紀元前から愛されて
大嫌いだった教室の 半自由の時間を埋めてくれた
彼女みたいになりたいと 慣れた長髪を切りそろえ
暗いキュラソーを混ぜたシャンプーで 洗い流してるうちに放課後
私が すていつ
君と二人で行こうと決めた終業式の日
どこか遠く知らないロケットが
四度目の月も壊してしまった
クラシカル 大恋愛の果てに
目がけた望遠鏡の端に
映り込む微かなシンチレーション
クラシカル 大恋愛の彼方
飛ばした過去へのタイムマシン
狭くて手紙だけだったけど
初雪と一緒に降ってくれたら
ユラユラ 大天体の果てに
浮かんだワンルームのフローリング
世界はこれから終わるのかな
ユラユラ 大天体の彼方
飛ばした君へのタイムマシン
初めて書き上げた物語
クラシカル 大恋愛の先に
降り積もる過去が街を染め上げていく
窓辺で抱き合ってる二人は
私と君じゃなくてもいいよ
ちいさな飴玉 lyrics : ein himinn
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ちいさな飴玉ひとつ 上手に舐めきれたなら
僕らの未来は変わっていたかな
ちいさな悲しみひとつ 上手に分けあえたなら
僕らの昨日は変わっていたかな
夢のような日々の目覚めが 間近に迫る静かな夜明け
かすかに注ぐ曙光に心が見透かされていく そんな気がして
どこにだって行って欲しくて ここにだけいて欲しくて
そのあいだで想いがこぼれて もう隠せない もう戻せない
君だけを知りたくて 僕にだけ見せて欲しくて
その願いが叶わなくても 何も言わずに ただ寄り添って
ちいさな約束ひとつ 大事に守れたのなら
僕らの未来は変わっていくかな
足手まといなこの足が 必死に追いかけた君の背中
その姿が見えなくなる前に もう一度言わなきゃ 本当にありがとう
どこにだって行って欲しくて ここにだけいて欲しくて
そのあいだで想いがもつれて もう解けない もう戻せない
僕だけを知って欲しくて この心見て欲しくて
その願いが叶わないように 涙こらえて ただ微笑むよ
ちいさな飴玉 君と一緒でもう溶けてなくなった
手を振るよ それしか今は出来やしないから
どこにだって行って欲しくて ここにだけいて欲しくて
そのあいだで想いが溢れて もう止まらない もう戻せない
朝の陽に照らされて 消えていく最後に君が
振り返って笑うから もう戻れない もう戻らない もう届かない
凪に揺られて lyrics : ein himinn
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風の止む部屋の中 不意に目が覚め夢うつつ
遙か昨日に旅をした 徒に差し込む朝日見る
無数の未来を見た夢は 苦悩 挫折にうなされて
結局何も叶わずに 飲み込む言葉に嗚咽する
あの日の僕はもういない 始まりの場所にまた戻る
手にしたものは頼りなく 失くしたものは返らぬが
それでも残ったこの今を 僕でしかないこの僕を
憐れむための歌でなく 語るためにと歌うたう
自分に向けて歌うたう 自分のために歌うたう
遠く離れた僕たちよ 僕は今ここにいる
そしてこの先を生きていく
戻れない 幾重にも伸びた世界で
ただ一つ これを選んだ
変われない 僕だけがくぐり抜けた
今日こそが きっと奇跡だから
奇跡だから
流星の降る夜に lyrics : ein himinn
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暗い夜 夢を見て飛び出した少女を
照らすように流星が空から降ってくる
冬の空 悴んだ手を口元にあてて
舞うように白い息が空へと昇っていく
遠い昔 失くしてしまった宝物を
探すように足元を気にしながら歩く
冬の空 カストルの瞳から涙が
伝うように流星がシリウスへと落ちる
Everynight 僕らはいつから夜空の星を
見上げなくなったのかなあ
Everyday 僕らは大切だったはずのもの
もう一度大切にしよう
夜明け前 夢を見て飛び出した少女を
照らすように太陽が空へと昇っていく
冬の月 雲のベッドへ潜り込んで
眠るように見えなくなっていく
Everynight 僕らはいつから夜空の星に
気付けなくなったのかなあ
Everyday 僕らは大切だったはずのこと
もう一度大切にしよう
長い夢の途中で 見失った流星を
探しに行くよ 見つけに行くよ
どんな闇が道を阻んでも
長い旅の途中で 見失ったのは僕だ
探しに行くよ 見つけに行くよ
闇を切り裂く流星を目印に
イノセンス lyrics : ein himinn
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遠くへ消える入道雲 形を少しずつ変えて
僕らの居場所も同じよう ここから少しずつ離れていく
何かを言い残したような 秋空に吸い込まれそうで
季節の変わり目の僕の ふがいない想いも宙に浮いていく
このまま何処か遠い場所まで 行ければいいのに
今まで隠していた事 今まで逃げ続けた事
それでも探してくれた事 あなたが笑いかけてくれた事
このまま何処か遠い場所まで 行かなければいいのに
時の流れは速く 日々を置き去りにする
僕は立ち尽くして 戸惑う空を見上げている
遙か風吹く先へ 想いを託してみても
未だ見つかりはしない 答えを探している
何も知らない街で 空の色さえも違って見えたよ
その中で変わらないものを探している
僕らの帰り道のようなものを
故郷を遠く背にして 僕は何ができるだろう
日々は何も告げずに 夜が今、明けだした
想いを飲み干したら 時間が来たみたいだ
手を振る君の笑顔に 何度助けられただろう
遙か風吹く先で 歩みを進めてみるよ
いつか見上げた空と 同じ僕でいられるように
夜明けの子守歌 lyrics : ein himinn
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夜の隅っこで申し訳なさそうに息をして
まどろむ瞬間も束の間に 溜息が自然とこみ上げる
そんな夜が明ける前に
冷たい時計の針の音が鳴り響く部屋の片隅で
どんな言葉も綺麗事に聞こえて嫌になってしまいそう
そんな心を温められるような術はないけど
悩んで、嘆いて、誰にも頼れない日々の途中に
戸惑って 誰かのせいにしてしまいたいけど
それでいいんだよ 全てが上手く行くはずなんてないから
ゆっくり目を閉じてみてよ 今夜はおやすみ
黒くて重たい夜の風とこのまま何処かへと消えたくて
たゆたう瞬間も束の間に 窓越しの夜空が青くなる
そんな願いを叶えられるような術はないけど
嫌って、逃げ出して、それでも変われない自分自身に
苛立って 何かを責めずにはいられないけど
それでいいんだよ いつの日か今日よりも上手く笑えるから
ゆっくり 目を閉じてみてよ 今夜はおやすみ
ああ、君の夢は 今遙か遠い空の下を歩んでいく
ああ、君の明日は 踏み出し始める君とともにずっと続いていく
悩んで、嘆いて、それでも変わり映えしない日々を
投げ出して 全部やめてしまいたくなるけれど
それでいいんだよ 痛みを背負ったままの姿でいいから
ゆっくり 目を開けてみてよ それまでおやすみ
airs lyrics : ein himinn
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ふと歩みを緩めて 乾いた空を見上げた
絞り出した言葉は 風の中へ消えていった
世界に終わりはなくて まして神様もなくて
それでも目に見えない ただぼんやりとした不安があって
薄く灯りがともる朝 そこから逃げられずに迷っている
自分自身を信じたい
いつか憧れた 景色に導かれ
出会いと別れを繰り返して もう戻れない 昨日となって
どれだけ遠くへ行っても どれほどの嵐に遭っても
故郷の空を目指して 渡り鳥が飛んでいった
旅の途中の日々を思えば 何一つ答えやしない無数の影に
抗うため 歌いたい
「何が起こったって君は君」だって
お決まりのポーズで笑って見せる あなたの姿があるだけで
どこへ行ったって 一人じゃない気がして
望みも潰える向かい風にも 立ち向かっていける気がした
どうか生きてください それでもまだ足りない想いだらけで
まるで空気のような 言葉にできない僕も
風の中の歌にして 名前のない歌にして
いつもの夜明け前 朝日に身を構え
たじろぐ未来に 願いをこめて 僕等のため もう一度
遙か遠くまで 好きな歌うたって
行きたい場所へと羽を広げて 飛び回る風と共に
風と共に